主に江戸について

主に江戸後期の、主に庶民の暮らしを調べながら書いてます。堅苦しくなくポップ(?)に☆読んだ本のメモが中心。

美しい江戸(&明治)時代の風景写真イロイロと、自然を愛していた人々のくらし

江戸の自然風景と、

自然を愛していた江戸庶民の美意識についての話。

 

『逝きし日の面影』(渡辺京二著)より。

 

 

 

美しい、昔の日本の風景写真

たくさん載せるので、お楽しみください・・・☆

 

 

 

 

GONE FISHIN' -- Another Nice Day in OLD JAPANwww.flickr.com

 

 

 

欧米人たちを魅了した日本の自然

 

 

日本を訪れた欧米人たちは、口をそろえて

自然の美しさを賛美した。

 

苔むす神社、円錐形の火山、細い吊り橋が架かる深い谷川、

春に咲き誇る花々、霧がかった夏山、深紅の紅葉、などなど・・・

 

そんな、多様で豊かな自然の美しさに魅了され

深い感銘を与えた、ということがこの本には多く紹介されている。

 

 

ただ、例えば江戸を訪れた欧米人は

最初は、その風景に落胆した人も多かったらしい。

 

ヨーロッパにあるような豪華な建築物がなかったから、である。

当時の日本家屋は木造平屋建てが多かったので、町並みは単調だった。

 

が、そのような人でさえも、次第に自然と調和した

江戸の姿に魅了されていった。。。

 

つまりは、 

江戸は、当時で世界最大の人口を擁する都市だったにも関わらず

その「都市」の姿がヨーロッパのものとは全くかけ離れていた、

ということだ。

 

その都市の姿は、豪華な建築物が並ぶ姿ではなく、

 

都市であると同時に田園であるような風景、

都市がいつの間にか田園に移調しているような風景・・・

 

「田園化された都市」とも「都市化された田園」ともいえるような、

世界の他のどこにもない、独特の都市の姿だった。

 

 

*東京も江戸を見習ってほしいものですね・・・

(自然がなさすぎてムリ!) 

 

 

 

 

 

「自然に人間の手が加えられすぎている」ということについて

 

 

ここで、少し面白いなと思った指摘があった。

日本は「自然に人間の手が加えられすぎている」とか「整いすぎている」

と感じた欧米人がかなりいたようである。

 

私の中では

「欧米→自然に人の手を加えてコントロールしてきた」

「日本→自然に人の手を加えすぎず調和して暮らしていた」

という単純構造のイメージがあったので、

この指摘が意外だった。

 

どうして欧米人がこのように感じたのかというと、 

日本は、庭園とか都市部だけでなく、郊外にいっても

色鮮やかな花壇や整えられた生け垣など、

整えられた自然の姿が見られることに対して

「手が加えられすぎている」という印象をもったらしい。

 

これは私の想像だけど、

ヨーロッパでは、都市部や庭園などでは

自然は手が加えられコントロールされていたのに対して、

都市部を離れると自然は手つかずでそのままだったのではないか。

 

それに対して、江戸では

都市部でも郊外でもある程度自然が整えられていた

ということだと思う。

 

これは、私は

あらゆる人々が自然を愛し、愛でていたことの

あらわれではないかと思う。

 

貧しい人々も、家の前に花を植えたりして

自然を愛でていた、そして

そのような豊かな美意識があったのではないか。

 

 

 

 

 

自然を愛でていた生活いろいろ

 

 

① 茶屋 

 

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本牧十二天の茶屋(写真:oldphoto.lb.nagasaki-u.ac.jp/jp/

 

時代劇とかにしょっちゅう出てくる「茶屋」。

景色が美しいところには、どこにでも茶屋があったらしい。

 

美しい景色を見ながらお茶を楽しむ、

お金がない人は景気だけを楽しんでもOK。

 

身分の上下にかかわらず、そんな風に

美しい景色を楽しんでいたなんて素晴らしすぎる・・・

 

*茶屋・・・できないかな。

道路に面した東京のオープンカフェってさ、なんなんですかね。

個人的にまったくもって魅力を感じません。

 

 

② 駕籠

 

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*駕籠にのる母と娘(写真:oldphoto.lb.nagasaki-u.ac.jp/jp/

 

駕籠に乗って旅をするということは

「地面すれすれに飛ぶようなもの」だったらしく、

時にはほおを草がなでたりとか、

歩行者なら通り過ぎてしまうような草花などの自然を

存分に楽しめるものだったらしい。

 

素敵! 

駕籠で旅をしていた日本人は、

素晴らしい風景を見ていたんだろうなぁ。。

 

電車とかバスとか新幹線の旅とは雲泥の差ですねきっと。 

 

 

③ 自然の中で一日過ごす習慣

 

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*公園の茶店でくつろぐ女たち(写真:oldphoto.lb.nagasaki-u.ac.jp/jp/

 

「日本人の最大の楽しみは、天気のよい祭日に

妻子や親友と一緒にのびのび過ごすことである」

 

欧米ではこのような習慣は貴族の趣味であったらしいが、

日本では庶民の間にもこの習慣が広まっていた。

 

 

④ 花卉文化

 

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菊花展(写真:oldphoto.lb.nagasaki-u.ac.jp/jp/

 

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*菊人形(写真:oldphoto.lb.nagasaki-u.ac.jp/jp/

 

お花見をはじめとして、花を愛でる習慣があった。

しかも、それが園芸化されていて、花卉園芸文化に関して

日本は中国や西欧をはるかに凌ぐレベルだったらしい。

 

写真の菊人形もそうだし、

椿や桜の品種改良はなんと室町時代から始まり

桜は4〜500品種もあったらしい。

 

 

 

 

 

自然を愛し、ともに暮らし、ともに発展していく、ということ

 

 

欧米人の何名かの感想をそのまま紹介します。

 

日本人は何と自然を熱愛しているのだろう。なんと自然の美を利用することをよく知っているのだろう。

 

この国の人々が、美しい景色をいかにたのしむかを見ることは興味がある。誇張することなしに、我が国の百倍もの人々が、美しい雲の効果や、蓮の花や、公園や庭園をたのしむのが見られる。

 

日本人は自然が好きだ。ヨーロッパでは美的感覚は教育によってのみ育成することが必要である。(中略)日本の農民にあっては、美的感覚は生まれつきのものなのだ。たぶん日本の農民には美的感覚を育む余裕がヨーロッパの農民よりもあるのだろう。

 

こんな風に、身分の上下にかかわらず

自然と愛でて暮らしていた江戸時代の日本人の美意識は

素敵だなぁ。

 

 

ちょっとズレますが、 

個人的に思っていることとして。

 

人間は「自然を破壊する存在」で「自然はそのまま残すべき」みたいな

「人工 vs 自然」という構図が一般的にある気がしますが、

人間の役割って、本来はそうではないと思っています。

 

人間も自然の一部であり、人間も自然が創り出したもの。

人間には、他の動植物にはない創造する力をもっている。

 

のであれば、自然は自然、と放置するのではなく

自然がより繁栄できるように手を加えていくことが

人間の役割なんじゃないかな、と思っています。

 

で、江戸時代の日本ではそれがある程度できていたのではないか

という感じがしている。

 

自然に親しみながら、それを破壊することなく美しく保つ技術。

 

・森林は、伐採するには許可が必要で、伐採したら必ず植林していた。

・鳥も保護されていて、撃つことは厳重に禁止されていた。

ということがこの著書の中に書かれてましたが、

 

他にも、

自然と親和し、自然を発展させながら人間も発展していけるような

暮らしのヒントが、江戸時代にあるかもしれないという気がしています。

 

 

 

 

 

 

最後に、美しい風景写真を・・・

※例によって明治・大正時代のも含まれますが、イメージとして。

 

自然を愛し、自然とともに暮らしていた様子が

伝わってくると思います。

 

 

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*COUNTRY HOMES IN OLD JAPAN(写真:flickr.com

 

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*THE OLD MILL HOUSE AND MT. FUJI(写真:flickr.com

 

 

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*THE HORIKIRI IRIS GARDENS OF TOKYO in OLD JAPAN (写真:flickr.com

 

 

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*THEN AND NOW AT THE RUSTIC EDOGAWA PARK IN TOKYO(写真:flickr.com

 

 

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*KINTAI BRIDGE(写真:flickr.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日のまとめ

 

・駕籠に乗って旅をしてみたい

・景色のいいとこあちこちに茶屋がほしい

 

です・・・!!

 

 

 

 

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